2025年6月6日金曜日

プロレス列伝「タイガー・ジェット・シン:東洋の神秘、黒い呪術師との乱戦」

「世界のレスラー:プロレス専門ブログ」。「インドの凶虎」と呼ばれたシン。しつこいコブラクロー&サーベル攻撃。レスリング技・パワーを披露するシーンも。

プロレス列伝「タイガー・ジェット・シン:東洋の神秘、黒い呪術師との乱戦」

タイガー・ジェット・シン(1944年4月3日~)

インド出身のシン。本当は「タイガー・ジート・シン」と発音するようだが、日本ではなぜか「ジェット」。本名は「ジャグジート・スィン・ハンス」。身長は190cmで、意外にデカい(身体の大きさを活かすプロレスではないため「意外さ」を感じる)。1965年、シンガポールでデビュー。その後、カナダへ。フレッド・アトキンスから正統派レスリングを習い、カナダではベビーフェイスとして売り出し。ジョニー・バレンタインを破ってUSヘビー級王座を獲得。ジン・キニスキーのNWA世界ヘビー級王座、ブルーノ・サンマルチノのWWWF世界ヘビー級王座に挑戦したり、ザ・シーク戦では多くの客を集めるなどトップスターに。1973年5月、新日本プロレスに初来日。山本小鉄を痛めつけて存在をアピール。以後は「新宿伊勢丹前襲撃事件」「腕折り事件」といったエピソード(小鉄が書いた本などに詳しい)。新日本と全日本の「外人引き抜き合戦」により、全日本へ。


②「タイガー・ジェット・シン vs. ザ・グレート・カブキ

(1983年2月25日:愛知県体育館)

(内容)新日本の常連外国人だったシンが全日本へ。カブキはアメリカでブレイクしたキャラ。アメリカの方がギャラが良いため本当は日本には帰りたくなかったが、ジャイアント馬場の命令で帰国。馬場が欠場したシリーズの「穴埋め」として出場したところ、日本でも大人気に。自分よりも人気が出て面白くない馬場だが、団体の経営のためには人気者を特別扱いしなければならない。「特別試合」として行われたこの一戦。劇画「プロレススーパースター列伝」にも二人の対決が描かれていたが、日本ではどんな試合になるか? レフェリーはジョー樋口(何となく結末が予想できる人選)。まずはカブキがカブト&ヨロイで入場(セコンドに越中詩郎、三沢光晴ら)。リング上で日本刀を見せるパフォーマンス。次いでシンが上田馬之助と肩を組んで入場。手にはサーベル(ちょっと曲がっているのが妙に面白い)。ターバンで先制攻撃のシン。チョーク攻撃、鉄柱攻撃(場外)、トーキック、コブラクロー。反撃するカブキはアッパーカット、トラースキック、逆水平、スリーパー。次はシンの番。トーキック、ブレーンバスター、しつこいクロー攻撃。カブキの毒霧にビビるシン。カブキがアッパー、ネックブリーカー。コーナーでカブキが逆さ吊りにされて乱戦。シンがレフェリーに手を出す(やっぱり)。さらに乱戦になり「両者反則」。この当時、全日本でよくあった「ジョー樋口が乱戦に巻き込まれて反則」のパターン。しかし、両者とも得意技を出し合えたからそれでよかったのかもしれない。


③「タイガー・ジェット・シン vs. アブドーラ・ザ・ブッチャー

(1990年6月8日:日本武道館)

(内容)「昭和の二大悪役」が激突。実に興味深いカード。レフェリーは和田京平。まずはシンがサーベルをくわえながらリング入場。派手なパープルのキラキラしたコスチューム。次いでブッチャー。コチラは黒い衣装で、気合いが入っている印象。面白いことに共に先が上向きに尖った「凶器シューズ」。シンがサーベル攻撃でブッチャーのリングインを妨害。地獄突き、ヘッドバットで反撃してようやくブッチャーがリングへ。腕を攻めるシン。そして機材ケース(カメラを入れるもの?)を使ったり、パンチ、キック、おなじみコブラクローといった技で攻めたり。珍しいことにラリアットを連発するシーンも。ブッチャーはやや押され気味ながら体重を利用した攻め、パンチ、バックドロップ。そしてブッチャーの毒針エルボー炸裂。しかし、ロープ際であったためブレイク。ゴングに使う木槌を持ち出すシン。執拗に凶器攻撃。もみ合う両者。ブレイクしないため、レフェリーは「両者反則」のゴング要請。この二人は何度やってもこういう内容・結果になるような気がする。この試合に関しては「シンの珍しいラリアット連発が観れてよかった」といったところ。


その後

ブッチャー戦後、全日本を去ったシン。スペシャルマッチ的な試合で新日本に復帰。全盛を過ぎてからはインディ団体へ。1995年8月20日、「IWA JAPAN」の興行(川崎球場。デスマッチ王者を決める最凶トーナメント)に出場。相変わらず荒っぽいところを見せた。息子タイガー・アリ・シンもレスラーになり、WWFに参戦。2024年には人道的な活動が評価されて旭日双光章を受章。リングでは忠実に「インドの狂虎」を演じ、プライベートでは実業家として成功した「頭脳派」だった。

 

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