2023年12月2日土曜日

プロレス列伝「ザ・グレート・カブキ:アメリカWCCW・全日本での戦い」

「世界のレスラー:プロレス専門ブログ」。「東洋の神秘」と呼ばれた怪奇派カブキ。ヌンチャク・パフォーマンスに必殺技アッパーカットとトラースキック。

プロレス列伝「ザ・グレート・カブキ:アメリカWCCW・全日本での戦い」

ザ・グレート・カブキ(1948年9月8日~)

本名「米良 明久(めら あきひさ)」。日本プロレス入門。日本プロレス崩壊後、全日本へ。アメリカ武者修行。「カブキ」に変身(その当時のエピソード、「毒霧」といったパフォーマンスに関する秘話は本人が様々な場で語っている)。マネージャーは元レスラーでもあるゲーリー・ハート(後にギャラの横領でカブキと仲違い。グレート・ムタをWCWで売り出したが、ムタとの関係は悪くはなかったようだ)。フリッツ・フォン・エリックのWCCWで大ブレーク。ギャラも凄かったらしく、日本には帰りたくなかったほど。


「ザ・グレート・カブキ vs. ジャイアント・キマラ」

(アメリカ・WCCW)

(内容)カブキの全盛期の試合。ややこしいレスラーのキマラ。「キマラ」と呼ばれるレスラーは二人。今回紹介するキマラは「初代キマラ」。「ウガンダの大魔神」と呼ばれるが、実はアメリカ人(もう一人の「キマラ」も全日本プロレスに来日。「アフリカ・ボツワナ共和国出身」「ボツワナ・ビースト」というキャラ設定たったが、実際はアメリカ人)。リング入場。カブキは赤い付け毛に般若の面。見事なダブルヌンチャクを披露。仮面を外し、毒々しいペイント。緑の毒霧噴射。キマラはアフリカ民族衣装なコスチューム。セコンドのキム・チーがちょっとコミカルな雰囲気(「怪しさ」がにじみ出ている)。もう一人、アラブ人がキマラのセコンドに付いているが、このキャラはよくわからない(たぶん、「マネージャー」キャラ。しかしながら、よくわからないのがプロレスの「マネージャー」。本当に選手をマネージしてプロレス団体とギャラの交渉をしたりしているのか、単なる「キャラ」なのか?)。試合開始。体格差。キマラが巨体を生かしたチョップ、ネックハンギング、ベアハッグ、クロー攻撃。カブキはソバット、トラースキック、アッパーカット。セコンドもやり合い、リング内へ。キマラを攻撃するゲーリー・ハート(セコンドがレスラーに手を出すのは基本的に御法度)。結果はノーコンテストか? あいまいな決着。アメプロはキャラを楽しむものだが、あまりにも消化不良な結果だとファンも喜ばないような気がする。カブキのダブルヌンチャク、打撃系の技、キマラのネックハンギング、どこかユーモラスなキム・チーが見せ場だった。


「ザ・グレート・カブキ vs. ジム・デュラン」

(昭和58年2月11日:後楽園ホール)

(内容)全日本プロレス「エキサイトシリーズ」開幕戦での一戦。アメリカでトップスターになったカブキ。ジャイアント馬場が帰国命令。馬場がアメリカ・セントルイス遠征で欠場するため、その「穴埋め」として佐藤昭雄が「カブキの凱旋帰国」を提案したそうな。デュランはニュージャージー州トレントン出身の白人。本名は「ジェームズ・モリソン」。レスラーとしてテッド・デビアスらと戦ったり、タイトルを獲得したりの実績。マネージャー業も務める「頭脳派」。試合。レフェリーはジョー樋口。照明が落とされ、ニンジャ頭巾・コスチュームのカブキが入場。セコンドに川田利明。デュランには冬木弘道。美人さんから花束贈呈。カブキがダブルヌンチャク。頭巾を脱いで緑の毒霧噴射。試合はカブキがリード。腕を絞ってキック、延髄斬り、首筋にクロー攻撃。デュランはパンチ、ターンバックル攻撃。アッパーカットを使うカブキ。チョップ、ローリングソバット(低め)、カウンターキック。そしてセカンドロープからのフィストドロップで3カウント。体格的にはデュランが上だったが、カブキが攻撃力で勝利。コスチューム、ダブルヌンチャク、緑の毒霧、アッパーカット。ファンにアピールする要素をキッチリ見せた。その後のデュラン。リングを降り、「J・J・ディロン」の名でWWF、WCWでいわゆる「ブッカー(対戦カードを組んだり、抗争ストーリーを作ったりする役目)」を担当。レスラーとしてはそこそこだったが、プロレス界を支える大物となった。


その後

デュランとの凱旋帰国でカブキ人気は日本でも沸騰。アメリカから帰ってきた馬場が嫉妬したほど。あまりの人気にリック・フレアーのNWA世界ヘビー級王座に挑戦したり、映画『カランバ』のプロモーションに参加したり。しかし、ギャラは低いまま。馬場がケチだったのか、全日本の経営が火の車だったのかはわからないが、カブキは日本(馬場の「しぶちん」ぶり)にウンザリ。しかし、アメリカもまたWWFの全米侵攻でカブキのようなレスラーは「時代遅れ」的な感じに。新日本で越中詩郎の「反選手会同盟」のメンバー入り。そしてSWS、東京プロレスといったインディ団体出場。引退して店を経営していたが、カムバックの要請。店の営業とリングの兼業。2023年1月22日、ザ・グレート・ムタの引退試合に登場。これが「リングでの最後のパフォーマンス」ということだが、ホントにそうなるだろうか?


0 件のコメント:

コメントを投稿