世界一のレスラー、猪木の異種格闘技戦シリーズ。「vs. ウイリエム・ルスカ(初戦)」「vs. モハメド・アリ」「vs. アンドレ・ザ・ジャイアント」を紹介します。
①アントニオ猪木 vs ウイリエム・ルスカ
(1976年(昭和51年)2月6日:日本武道館)
(内容)猪木の異種格闘技戦シリーズの第一弾。猪木がモハメド・アリと戦おうとしているのを知ってルスカが挑戦してきたという。ルスカはミュンヘン五輪の柔道金メダリスト。柔道着を着たルスカが入場。次いで赤いガウンの猪木。両選手に花束贈呈。両国国歌の演奏。猪木のセコンドには坂口征二、山本小鉄、ストロング小林、星野勘太郎ら。腕を取り合ったり、バックを取り合うレスリング。猪木のヒジ打ちやパンチ、キックにクレームをつけるルスカ。ルスカが胴絞めスリーパー、柔道の倒し技を使うが、猪木の打撃技には脆くも転倒。道着を脱ぎ、腕ひしぎで攻めるルスカ。しかし、猪木がバックドロップ三連発。動けなくなったルスカを見て、レフェリーは試合を止めた。猪木がプロレス技で快勝。しかしながら、ルスカが打撃技にクレームをつけたように、「この試合のルールはどういうものだったのだろう?」という疑問が個人的には残った。試合後、猪木に食ってかかったルスカ。張り手されて後退。組み合うのが柔道。打撃には弱かったようだ。後年、猪木は「ルスカは引きつけるパワーは凄かったが、レスラーとしてはイマイチだった」と語っている。)
②アントニオ猪木 vs モハメド・アリ
(1976年(昭和51年)6月26日:日本武道館)
(内容)ボクシング世界ヘビー級王者アリとの試合。未だに謎が多い一戦。「プロレス技がほとんど使えないルールで猪木は戦わざるを得なかった」「アリのファイトマネーは610万ドル」といった話は作り話だったという説(古い話ですし、私は関係者でもないのでその話の真偽については触れないようにしたい)。試合前、猪木がアリに松葉杖をプレゼントして挑発。アリは猪木を「ペリカン」呼ばわり(アリは「グレーテスト」と世間からは呼ばれるが、よくこういうことを言っていた。ライバルのジョー・フレージャーを「ゴリラ」呼ばわりして傷つけたり)。そして試合が実現。アリが日本で試合をするのはコレが二度目。世界王座を奪回する前の1972年4月1日に東京でマック・フォスター相手に15R判定勝ち(世界王座戦でもないのに「15ラウンド制」だった)。全盛を過ぎたアリとしては、プロレスラー相手のお遊びでカネになるのなら歓迎、といったところか。猪木とアリがリングで対峙。猪木のセコンドにはカール・ゴッチ、坂口征二、山本小鉄といった面々。アリのセコンドはおなじみアンジェロ・ダンディ、取り巻き連中。試合はボクシングと同じ「1ラウンド3分」で「15ラウンド制」。仰向けの状態でアリに蹴りを入れる猪木。アリはパンチが打てないため、猪木の足を蹴飛ばし、例の「アリ・シャッフル」(速いフットワーク)&おどけた表情。7R、キックでついにアリが倒れる。13R、アリのジャブがヒット。15R終了。判定は引き分け。試合後、様々なウワサ話が飛び交ったが、真相はわからない。ただ、この試合によって猪木は「プロレスを超えた存在」となり、その後「アントニオ猪木」という商品は新日本プロレスを拡大させていく。アリはこの試合で足を痛め、苦しい防衛戦が続いた。
③アントニオ猪木 vs アンドレ・ザ・ジャイアント
(1976年(昭和51年)10月7日:蔵前国技館)
(内容)「大巨人」アンドレとの「格闘技世界一決定戦」。プロレスラー同士の対戦(「異種格闘技戦」ではない)。「格闘技世界一決定戦シリーズ」で猪木が「プロレス代表」を名乗っていることにアンドレがクレームをつけたことから行われることになったという。「プロレス代表」を決める試合。カーリーヘアのアンドレが入場。次いで赤いガウンの猪木。花束贈呈、両国国歌演奏。猪木のセコンドには坂口征二、木戸修、ジョージ高野ら。ドロップキックで先制攻撃する猪木だが、アンドレがパワーで押す。腕を絞り、スリーパー。猪木もパワーがある。アンドレをアームホイップしてキーロック。キーロックを掛けられたまま猪木を持ち上げるアンドレ。アンドレがヘッドバット、足を固める技、弓矢固め。猪木はヘッドシザース、ドロップキック、首筋へのチョップ連発。場外戦。アンドレがヘッドバットを鉄柱に誤爆。猪木がパンチ連発。試合終了。どうやらアンドレが流血によりTKO負けらしい。負けに納得がいかないアンドレは猪木にジャイアントプレス。結局、普通のプロレスと変わらなかった試合。ただ、共にパワーとテクニックを披露。二人は個性が違う(正統派の猪木、キャラのアンドレ)が、それぞれハイレベル。両者とも「プロレス代表」でいいと思う。面白かったのがアンドレの「誤爆」。チョップをよけられてコーナーポストを叩いてしまったり、鉄柱にヘッドバットを食らわしたり。本当にミスったのか、ウケ狙いだったのか? 大きな体でミスをする姿は実にユーモラス。会場のお客も大ウケだった。
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