2021年9月13日月曜日

山本小鉄『いちばん強いのは誰だ』②(プロレス本)「世界のレスラー:プロレス専門ブログ」

山本小鉄の『いちばん強いのは誰だ』(1997年)を紹介。「タイガー・ジェット・シン」「エル・カネック」「ブルーザー・ブロディ」「アブドーラ・ザ・ブッチャー」「デニス・ロッドマン」「力道山」ほか。

『いちばん強いのは誰だ』②(プロレス本の紹介)「世界のプロレス紹介:自由なブログ」

1.タイガー・ジェット・シン

「シンのことを全く知らなかった」と小鉄。新日本のリングに突然上がって小鉄を襲撃したシン。シンが何者なのかその時はわからなかった、という。たぶん「ドッキリ」だったのだろう。全く無関係な者がいきなりリングに上がれるワケがない。「伊勢丹事件」もシンがその場で衝動的にやったことだと小鉄は書いているが・・・。

2.エル・カネック

メキシコの大型選手カネック。藤波のWWFジュニア王座に挑戦しに来日。大きな態度のカネック。ナメた態度。小鉄がいかに藤波が強い選手であるかをカネックに説明。試合に現れないカネック。敵前逃亡。あの「カネック失踪事件」は小鉄が原因だったのか。カネックは強い選手でしたけどね。他にも、ホントに気が強かった男、ハッタリだけだった男、について書かれている。

3.ブルーザー・ブロディ

「ああ、やっぱりな、と思った」と小鉄。ブロディが死亡したと聞いてそう思った、とのこと。トラブルメーカーだったブロディ。妙なワガママを言っては小鉄を困らせた。恨みを買うタイプだったんですね。確かにリングでの駆け引きは面白かったブロディですが、オーバーアクションで使う技は大味なモノ。良く言えば「豪快」、悪く言えば「大雑把」といったところ。死んだときは自分でも自分を押さえられない状態だったのかな? 長生きできない性格だったんでしょうね。

4.テレビ局

「大手企業がプロレスを嫌うようになった」と小鉄。「ワールドプロレスリング」のゴールデンタイム放送終了。プロレスの荒っぽい部分が時代と共に敬遠されるようになった。スポンサーって世間に敏感。「リズムタッチ」「がまかつ」なんてのもあった。プロレスが深夜放送になってしまい、放送があったり無かったり。「昭和プロレス」はテレビと共に消えた。実際には新日本は興行収入やビデオ販売で好調だったらしい。そして武藤らが新しい黄金時代を築きます。

5.アブドーラ・ザ・ブッチャー

「レスリングの基礎ができていなかった」と小鉄。シンはテクニックを持っていたけど、ブッチャーは見せかけだけだった、という。実に個性的だったブッチャー。確かに、あまりテクニックは感じられなかった。ブロディと似たタイプ。新日本でも頑張ったけど、やはりこの二人は全日本の方が似合っていたと思う。シンはどちらでも似たような戦い方。インディ団体でもそれなりに頑張った。

6.デニス・ロッドマン

プロレスの「乱入」について。新日本では「乱入」は選手が自分の意思で行う、という小鉄。全部が全部そうではないと思うが、選手が実力や存在をアピールしたいときは効果的な手段。WCWでデニス・ロッドマンが乱入したのは「会社が書いた筋書き」。「(だから)アメリカのプロレスは格闘技として認められなくなった」「話題性で客を呼べるのはほんのいっときだけ」と小鉄。実際、WCWはつまらないストーリーを繰り返した挙げ句、消滅してしまった。WWEもそうなるのか?

7.理想の体型

プロレスラーとして理想なのは猪木や武藤敬司だ、という小鉄。デカすぎたり、筋肉マンだと緻密な技ができないから、ということらしい。猪木や武藤の柔軟性も小鉄は高く評価。確かに「エース」となるレスラーは体が柔らかく、器用な選手が多い。ハルクホーガンのWWFでの人気は凄まじかったが、「格闘家」としてはどうか? ケガが多く、試合内容自体は微妙な時がよくあったような気がする。

8.力道山

「あの人の強さは間違いなく本物だった」と小鉄。体はあまり大きくなかったが、空手チョップの時に使う右手は異様なくらい分厚かった、とか。「ケンカプロレス」だったら強かったでしょうね。ただし、グラウンドのテクニックは無かった、とのこと。アルティメット向きのレスラー、ということかな? 

(コメント)

「一番強いのは?」がテーマの一冊。外国人ではカール・ゴッチ、日本人ではアントニオ猪木、というのが結論みたいです。どちらもグラウンドのテクニックなど、「格闘」を知っている人。ステロイドやダンベルで作った見せかけの体では「本当の強さ」を体現することはできない、ということ。強くなりたい人は教えられたことだけではなく、自分で考えたトレーニングもやって欲しい、と小鉄さんは書いています。人と同じことをやっているうちは人と同じレベルにしかならない。この本には「強かったレスラー」「ダメだったレスラー」「理想のレスラー」「新日本プロレスを立ち上げたときの苦労」が書かれています。レスラーやスポーツ選手といった「強くなりたい人」だけではなく、「何かに取り組んでいる人」にも有意義な一冊です。 


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