武藤敬司が過去を語る口語形式で書かれた読みやすい一冊。WCW、ムタ、新日本、全日本、プエルトリコ・マットなどがテーマ。カラー写真も付いている面白い一冊です。
1.カラー写真
最初のページは写真。赤ん坊の頃、柔道着姿、猪木や坂口、映画撮影時のスナップ、ムタ、結婚式、家族、の写真が載っている。ムタが花束をもらう写真がちょっと面白い。ヒールは花束を受け取らない、のが普通。長州に毒霧を噴射している写真もイイ感じ。
2.子供の頃
「仮面ライダーになりたかった」という武藤。バック転をやって遊んでいた、とか。レスラーになってムーンサルトが自然にできたのはそのおかげ、とのこと。しかし、そのせいでヒザがボロボロ。ヒザが悪化してもムーンサルトを続けた。「調子に乗るタイプ」という。プロレスの伝統的な特訓であるスクワットも「ヒザを悪化させるだけ」と言っているが・・・。
3.新日本に入門
山本小鉄から簡単なテストを受けて入門。坂口征二のデカさにビビった、とか。同期は蝶野正洋、橋本真也、船木優治、野上彰。自分が一番年上。だから、ちょっと彼らと合わないところがあった、とか。先輩の妙な命令、同期とのエピソード、猪木と初めて会ったときの印象、木村健悟から注意された話、が書かれている。
4.アメリカ
日本よりもアメリカの方が好きらしい。エピソードも多い。ヒロ・マツダ、ケンドー・ナガサキ、現地の女性との話。「ザ・ニンジャ」として試合。その後、新日本に帰ってヘルメットを持った「610」なんてキャラをやらされた。「旅館を壊した事件」「映画出演」はその頃の話。
5.プエルトリコ
治安が悪いところ。でもレスラーにとってはいい所らしい。初めて顔にペイントしたのもココ。ブロディの悲劇。「ブロディとは控え室が別だった」ということで詳しい状況は知らないらしい。
6.WCW
あのNWAが崩壊して「WCW」に。武藤はゲイリー・ハートと組んで「ムタ」に変身。スティング、フレアーらと抗争。レスラーたちとのエピソード、当時のWCWの状況が書かれたページに注目。
7.その後
日本に帰って「ムタ」をやった話、IWGP獲得、結婚、崩壊していくWCW、全日本移籍、などが書かれている。「WWFにも行きたかった」という。SWSにも誘われた、とのこと。
Muta in WCW |
(コメント)
なかなか面白い一冊。武藤って自由な人。ヘンな上下関係がメンドクサイ、会社の帰国命令を断る、など。アメリカで活躍できたのはそれが理由かな? 命じられたことを黙々とやるタイプはマジメだけど、見ていてあまり面白い奴じゃない。「ムタ」なのに「武藤」で試合をやってしまった、というところなどは、考えるよりもその場のノリでやってしまうタイプだからか? 面白いのはやっぱりWCW、フリッツ・フォン・エリックのWCWAでのエピソード。今では海外プロレスをいろんな形で見ることができますが、昔は見るチャンスが少なかった。アメプロ好きな人にオススメのページがいっぱいあります。「事件」の話もリアル。前田とのケンカ、ブロディ事件、全日本に電撃移籍。アメプロファンとしてはWWFと提携したSWSの話も気になるところ。武藤に言わせるとSWSに参加したレスラーは天龍を除いて「カス」なんだそうだ。ヒドい言い方。ちょっと表現を変えた方が良かったんじゃない? ジョージ高野とかいい選手がいたじゃないですか。「アルティメット試合」には興味がない武藤。「格闘」ではなく「プロレス」が好きらしい。「仮面ライダー好きの子」がそのまま大人になったような人。プロレスは「冬の時代」。武藤はこれから何をファンに見せるつもりなのか?
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